#発達障害啓発週間 〜発達障害?なにそれおいしいの編〜from.Ray
こんばんは、Rayです。
毎年4/2は世界自閉症啓発デー、それに伴い4/2〜8までは『発達障害啓発週間』となっている最中です。
これは自閉症や発達障害について知り、理解を深めましょうという目的で定められたものです。
ここで、発達障害?なにそれおいしいの?ダメ人間のこと?って思っている方も、自分や周囲がそれで苦しんでいる方もいるとは思いますが、
今回のテーマは、『発達障害について』です。
今回の記事は特に長いので目次でも。
発達障害って何?
一言でまとめるとしたら、
『生まれつき脳の機能がアンバランスで、そのために独特の思考や感覚のズレがある障害』
です。
生まれつきなんらかの理由で、脳や中枢神経の伝達機能が上手く働かないのが原因とされています。
そのため独特の感覚や社会とのズレ・コミュニケーション障害などが生じ、社会生活上で困り事が起こるのです。
症状のことは「特性」と言い、その出方や強弱は人それぞれです。
※なので今から書く障害の特徴も、一概にこうだとは決めつけられないことを頭に置いて下さい。
障害名としては現在、大きく3つのタイプに分けられています。
また、これらのタイプの他にも当てはまる障害はあり、複数のタイプとの併発や、知的障害・精神障害と併発することもあります。
それを今から、一つずつ分けて説明していきます。
ASD(自閉症スペクトラム)
一言でいえば、
「特定のものや手順に対するこだわりが強く頑固、コミュニケーションを取るのが難しい」
印象が強い障害です。
元々は知的障害(※)を伴う自閉症、知的に遅れのないアスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害(ASDの特徴をいくつか持った)に分けられていましたが、2013年に診断基準が変わり、軽度から重度・障害特性の出方をひっくるめて今の名称に変わりました。
(私、Rayは名称が変わる前にアスペルガーで診断が下っているため以前の名称と合わせて使っています)
ASDは「3つ組の障害」と呼ばれ、大きく3つの特徴が見られます。
- 社会性の障害
暗黙の了解や社会的慣習を理解し、“適切”に人と関わるのが難しい。
場にそぐわない行動を取ってしまう。
- コミュニケーションの障害
相手が言っていることや感じていることを理解するのが難しい。また、自分の意見を人に分かりやすく伝えるのも難しい。
言葉の裏が読めない。会話の中にネガティブな表現(実際に当事者をけなしていなくても)があると、ストレートに感じて傷つくことも。
- 想像力の障害
自分の今、ここが全て。「こうしたらああなる」を予測したり、思っていた事と違う結果になったことに納得することが難しい。
また、特定の習慣や物事にたいしてこだわりが強く、それを変えることに対して不安が強い。
また、その他に感覚過敏(後述)や常同行動(意味がないように見える一定の動作を繰り返す)が起こることがあります。
〜起こりうる困り事〜
- 一方的に話したいことを話してしまう(マシンガントーク)
- 人に言っていることが伝わらない
- 相手の言っていることの意図が読み取れない(言葉のままに感じてしまう)。あいまいな表現が苦手
- TPOが守れない
- 思ったことと違うとパニックを起こしてしまう
- 環境の変化が苦手
- 将来に対して不安が強い、またはかなり無謀
- マイワールドの住人『私はアルカディアの女王様』
etc...
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
一言で表すと、
「いつも落ち着きがなく、突拍子のない行動に出てしまうドジっ子」
のように見える障害です。
主にこの3つの障害特性が特徴です。
- 不注意
・目の前のやることに集中できず、家事も仕事もはかどらない。
・忘れ物やミス、うっかりすることが多い
・期日厳守、約束事や金銭管理といった管理が苦手。メモしてもそれを忘れることも。
・人の話を集中して聞けない
・物事を計画立ててやれない
- 多動性
・同じ場所に静かにいる事が難しく、そわそわとしている。子供だと席につけない。
・一つのことに集中できないため、物事が中途半端になる。
・話し出すと止まらない。マシンガントーク。
- 衝動性
・思ったことをすぐに口に出してしまう。
・ちょっとした事でもすぐに怒りやすい。
・重要な決断や契約でも、人に相談せずに進めてしまう。
・欲が抑えきれず、衝動買いなどに走る。
特性の強さにより、「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」に分けられます。
- 不注意優勢型……地味で目立った問題行動はないが、マイペースでケアレスミスが多い。
- 多動性・衝動性優勢型……人によって明るくリーダーシップもあるが、突然キレ出したり・身勝手な行動に出ることも。
不注意=のび太型、多動・衝動=ジャイアン型と表されることもあります。
〜起こりうる困り事〜
- 約束やルールが守れず、信用を無くす。
- マシンガントークと多動動作でうっとうしがられる。
- 物事がはかどらずミスも多いため、中途半端になる。
- 不注意と衝動性により、あらゆるトラブルに巻き込まれる。
LD(学習障害)
これは知的には問題はないものの、何らかの理由で読み書きや計算が困難なため、学力の取得に支障が出る障害です。
苦手なところを除けば、コミュニケーションなどは問題ない場合が多いです。
- 読字障害……文字を読んだり、その意味を理解するのが難しい。
・文字を読むのが遅く、1文字ずつたどるように読む。
・聴力に問題はないのに聞き間違えが多い
・文字や行の読み飛ばし、語尾や文末の読み間違いが多い。
・似ている文字(例※(ろ」「る」)の見分けがつかない。
- 書字表出障害……文章は理解できるが、正しく書き写すことが難しい。
・あらゆる文字がなかなか覚えられない。
・書写や写実が出来ない。間違えたり、鏡文字になったりする。
・英語の読み書きも苦手。
- 算数障害……計算やそれに伴う推論が苦手。
・数を数えたり、計算をするのが苦手。
・時計が読めない。
・図形の模写も苦手
これら全部が出来ない、というのは少ないとされているようですが
複数のタイプを併発することもあります。
〜起こりうる困り事〜
- 授業についていけないため、勉強の好き嫌いに関らず成績がとれない。サボっていると誤解される。
- 生活や仕事で必要な書類を読むのに苦労する。
- 仕事や生活で必要な、簡単な計算が出来ないため困る。電卓を使おうとしても数字が読めない。
etc...
その他の発達障害・特性
過集中
ASDやADHDに見られ、名前の通り特定の物事に対してはものすごい集中力を発揮する。
一見プラスのように思えるが、冗談抜きで力尽きるまでやるため、後になって動けなくなったり他の特性が悪化したりする。
感覚過敏・鈍麻
発達障害には、感覚過敏が起こることがあります。
これは名前の通り、特定の感覚を感じ取りすぎることによって辛さを感じるものです。
- 視覚……光が眩しすぎるため、サングラスが手放せない。鮮やかな色やデザインのものが「色彩暴力」のように思える。
- 聴覚……人混みや大きな音が苦手(カットホンや専用のイヤホンを使うことも)
- 味覚……特定の味や食感などが苦手。決まったものしか食べられない
- 嗅覚……特定の匂いが苦手。嗅いで気持ち悪くなることも。
- 触覚……ゴワゴワ、チクチクといった服の肌触りが苦手。まとわりつく、ピッタリといったデザイン面でも。着れるものが少ない。
感覚鈍麻は逆に感覚が鈍く、特定の感覚を感じにくいという特性です。
ケガをした時などに気がつきにくいため、注意が必要になります。
広汎性発達障害
社会性やコミュニケーション能力に障害が起こる。
これら5つの総称とされる。
- 自閉症→ASD
- アスペルガー症候群→ASD
- レット症候群……女子にのみ起こる障害で、一旦取得した言語や学習機能が失われていくという特徴がある。遺伝子変異が原因とされる。
- 小児期崩壊性障害……2〜5歳までは問題なく育つが、その後は出来ていたことが出来なくなる。6ヶ月後に落ち着くことが多いが、以後は自閉症のような特性が出る。ASDの治療に準ずる。
- 特定不能の広汎性発達障害……ASD、統合失調症、パーソナリティ障害(スキゾイド、回避性、統合失調型)の診断基準を満たさない場合。対人関係やコミュニケーションの障害、こだわりや想像力の障害が特徴
第4の発達障害
虐待親や毒親・機能不全家族などの元で育ち、生活に必要なスキルを習得出来なかったり脳機能にダメージを受けてしまった結果、発達障害のような症状が見られる。
この場合は愛着障害や精神障害、身につけられなかったスキルの学び直しなどがメインになる。
その他の発達障害
- 発達性協調運動障害
体をうまく動かせなかったり、不器用な面が目立つ。
体育が苦手。
- トゥレット症候群
・運動チック……目的がないかつ、意図もない行動が素早く繰り替えされる現象。まばたき、顔をしかめる、首を振るなど。
・音声チック……意図しない言葉や音が、突然繰り返し発せられる現象。
自然に収まることもあるが、これらが1年以上続くと診断される。
二次障害について
発達障害者は上記の特性に加え
- 疲れやすい
- ナイーブでメンタルも弱めな場合も多々ある
- トラウマを感じて根に持ちやすい
- 緊張しやすい
- 特性による人間関係のトラブルや、自分の気持ちに気づき・発信するのが下手なため、孤立しやすい
- 周りから目立つため、いじめに遭いやすい
- 特性による失敗から褒められる経験が少なく、自己肯定感が低い
- その中でも認められたい・周りが怖いがために限界まで頑張ってしまう
- 実は親も発達障害や二次障害がある気があり上手く子育てが出来ない、または他要素が原因の虐待や機能不全状態の中で育ってしまった。
(なお、必ず遺伝するとは限らないし発達障害者の親が虐待するとも限らない。発達障害の親生まれでもちゃんと育っている子はたくさんいる。)
etc...
このような事がしばしばあるため、様々な精神疾患や依存症などになりやすいです。
これを二次障害といいます。
また、精神疾患の治療の段階で発達障害やその傾向(グレーゾーン)が見つかった例もあります。
- 双極性障害……気分の波が激しく、生活に支障が出る。
- 不安障害……行き過ぎた不安を感じ、いつも緊張したり生活に支障が出る。
- パニック障害……予期しないパニック発作(動悸、息苦しさ、めまいなど)が起こる不安障害の一種。
- PTSD……怖い経験を受けた後、その経験に対して強い恐怖を感じ続ける不安障害の一種。
- パーソナリティ障害……性格が極端なために自分が思い悩んだり、他人に危害を加える。
- 解離性障害……自分の記憶や思考が切り離される障害。多重人格もここに入る
多重人格・解離性障害についてまとめてみた。from.Ray - Saku†Channel Dearな手記
などがあります。
二次障害にかかった場合は、特性や環境も相まって通常の精神疾患よりも治りが悪くなりがちです。
発達障害の特性も考えた治療が必要で、事後も無理は禁物となります。
他には、特性による偏食や性格習慣の乱れによる疾患や、女子ならストレスによる月経の乱れなんかも二次障害に入るのかもしれません。
発達障害の治療方法
根本的な解決策はありません!!(重要)
……悪魔だけにでかでかと絶望感を植え付けた気がします(満悦)
と、いうのはブラックジョークですが(
基本的には
- 幼少期の療育
- 生活に必要なことに関するリハビリやトレーニング
- 認知の偏りや歪みを和らげるトレーニング
- 環境調整
- 当事者の障害に対する認知・自覚
- 二次障害がある場合はそれに対する治療
- 落ち着きの無さや抑うつ状態・気分の不安定などが見られる場合はそれを抑える薬を飲む(投薬治療)
- 基本的性格習慣を整える
- 継続的な運動
(いずれにせよ、社会的なバランスと当事者本人の無理のない範囲で)
etc...
……と、いう感じで対症療法的に困り事を和らげていくしかないのです。
発達障害の人も決して変われない訳ではないですが、特性や予期せぬことへの不安が強いため周りの人の理解や環境作りが必須となってきます。
(もちろん、はっきりした意思がある状態なら当事者本人の意識も必要だと思います)
また、発達障害を取りあつかう精神科・心療内科といった専門機関への定期的な通院・服薬も大事です。
これは決して恥ずかしいことでも悪いことでもなく、
「自分の生きづらさやそれに伴う人生設計をお医者様というパートナーに相談する」
ためのものです。
今苦しんでいる方で発達障害の特性に心当たりがある方。
また、変わった人や仕事の出来ない人、問題児が周りにいてかつ、その人に発達障害に見られる特性が見られる場合。
医療期間や相談窓口に一度相談されてはいかがでしょうか?
(診断がつくと、一部保険に入りづらくなるなどのデメリットもありますが、当事者が苦しみ続けて病み、そのまま再起不能になる方が後々デメリットになります)
(精神を)壊してしまったら最後。
ある意味夢を追うより大変な人生になってしまうの……。Hakoniwa Blog by Lilium🐇 - 4月のリリウムなの! - Powered by LINE リリウム様のお言葉
一生をかけてのお付き合いになるので、当事者や家族の方は自立医療支援制度(申請し、手帳を受給することになって医療費が安くなる)を利用し、月々の治療費を安く抑えていきましょう。
また、特性が強くて生活に困っている・当事者の将来が不安な場合は
- 手帳については、精神障害者手帳
- 年金については、障害者年金
が適応されます。
他にも、ヘルプマーク、福祉ヘルパーやグループホーム、就労支援、生活保護など
必要な制度は一応日本国に揃っているので、一度調べてみて下さい。
最後に
こうして見ると発達障害はデメリットが多いように見えますが、
中にはずば抜けて高い能力やこだわり、独特の感性を生かし、社会の第一線で活躍されてる方もいます。
第一線とはいかなくても、趣味の世界で交友を広めたり、知識を深めたりし、好きなものにはとことん打ち込める特性を生かしてそこで個性を放っている方もたくさんいます。
結婚したり、家庭を築いたり、独自の幸せを見つけて楽しく過ごしている方もいます。
不器用でも人当たりがよく、人一倍頑張り屋さんで社会で受け入れられている方もいます。
発達障害をとりまく状況は厳しく、ネガティブな現状や決めつけもたくさん流れています。
しかし、決してダメ人間や人間失格、幸せを諦めろというラベルになるかというと、そうではないと思います。
また、逆に忠実な犬や無垢で愚純な人、天使かというと、それも違います。
ちらほら荒れる話題なのですが、「発達障害者」が障害者らしく、特性を緩和して無難に暮らせと決めつけられるのも、なんだかおかしな話です。
当事者は、「発達障害者」でありながら「その人」という1人の人間及び知的生命体です。
元々オンリーワンで、個性を持ったひとりで、たまたまこの社会に合わなかったという見方もできます(特に軽度)。
障害ありきにしてもその人には個性があり、定型発達の健常者がそうであるように、発達障害者でも趣味や考えは一人一人違います。やりたいと思えばセックスだってします。
中には性格の悪い人や、あまりにも身勝手な人、人を殺すような残酷な人もいるでしょう。
そういう人たちには、障害で分からなかった酌量は認められても
犯した罪の意味をしっかりと学んでもらえばいいと私は考えています。
人間も異種族も交流するには、まずは目の前にいる者を見るのが大切になってきます。
そして思いやり、受け入れられる限りの大きな心でお互いにフォローし合えばいいのです。
何かしてもらったら「ありがとう」、迷惑をかけたら「ごめんなさい」を大切に。
割合は気に障っていないなら気にしちゃ負け。それぞれの出来ることをする。
それでいいのかなと私は感じます。これは障害
もちろん、性格が合わない、趣味が合わない、付き合いきれない場合は離れたらいいと思います。
自分の身が大切ですからね^ ^
結局、「障害」と「個性」どちらととるかについても両方の面で、分けて見ることが大事なのだと書いていて改めて思います。
(ちなみに……定型発達でも障害にならないレベルで、ASDタイプとADHDタイプに分けることが出来るのですよ。それ故に「あるある」で片付けられることが傷。※当事者と定型発達ではレベルが違う)
そのため、関わる周りの人は障害名に関わらずに当事者をちゃんと見てあげること。
当事者一人一人、同じ病名でも特性や性格・扱い方がまるで違うことも多々あるため、
お互いに信頼関係を築く中で二人三脚・あるいは専門家を含めた三人四脚でやっていくのがベストだと思います。
長々とありがとうございました。おやすみなさい( ˘ω˘)スヤァ